中小企業診断士登録養成課程の学費は高いですが、それ以上に学ぶことが多く、投資に対するリターンは大きいとよく言われます。
でも、いくら学ぶことが多いといえども、二次試験を受験して診断士になるよりはるかに高い費用を支払うことになるため、ためらう方も多いと思います。
ここでは、主に養成課程の演習で学べることについて触れます。
「演習」に対する意見
皆さんよく口にされるのが、「企業診断実習等のグループワークが実務に役立つのは分かるが、社会人になってまで、椅子に座って集団授業を受けることに価値を見出せない」という意見です。
私自身も正直養成課程に入るまでは同様の意見でしたし、診断士を取得するための「過程」として演習はテキトーにやり過ごそうとさえ考えていました(笑)。
ところが、実際に入ってみて感じたのは、この「演習」こそ最も将来役に立つスキルが身に付く学習方法だということです!
今の自分があるのは、養成課程の時この数々の演習をこなしてきたからだと言っても過言ではありません!それでは、演習で学べることとはいったい何なのかについてみていきましょう。
「演習」で学べること
演習(ケースメソッド)て学べることは一言で言うと、経営者(管理職)としての仕事に向かう「姿勢」です。
ケースメソッド講義は私が養成課程の後に進学したハーバード大学にて最初に開発された授業形態ですが、世界で最も人気のあるハーバードMBAで採用されているのには訳があります。
学生は講義の約2週間前に「ケース」と呼ばれる企業の成功事例(及び失敗事例)の記載した文章が配られ、それを念入りに予習した上で授業に臨みます。それぞれのケースには事前課題としてアサイメントと呼ばれる質問が用意されており、授業開始までに自分なりの回答を作成する必要があります。授業では、教授がファシリテーターとなって、学生たちに様々な質問を投げかけていきます。あくまで、ケースメソッド講義の教授は知識を一方的に教えるのではなく、学生たちの意見を聞き、黒板にそれらの意見を板書していきます。熟慮できていない意見を言った学生に対しては、教授は厳しいコメントをした上で、建設的な意見が出るように講義を誘導していきます。このように、ケースメソッド講義は、学生が主体的に意見を言い、リーダーとしての「姿勢」を学ぶ場なのです。
「姿勢を学ぶのなら実務経験の中で学んだ方が効率的では?」という意見も良く聞きます。しかし、実際の実務で失敗はできませんよね?
ケースメソッド講義は野球に例えるなら、練習試合です。本番で失敗しないために練習試合をするのです。一方で、素振りやノックを一人でやっているだけでは実践力はつきません。ここで、素振りや1000本ノックが診断士1次試験(及び2次試験)の勉強に該当します。知識を得るだけなら、ビジネス書や新聞を読むことによっても独学で身に付けることができますが、本番さながらの臨機応変な回答・思考能力は、その場に議論を交わす相手がいてはじめて築き上げることができます。
個人でできる独学より実践的で、かつ本番のようなリスクのない、でも経営者の疑似体験ができる実践的な学びの場(スポーツで言うところの練習試合)、これがケースメソッドです。
その疑似体験による効果を上げるには、講義のファシリテータである教授の技量や、共に学ぶ仲間の質が重要となってきます。これが揃っているのが養成課程の演習です。
老若男女・職業を問わず、キャリアアップに役立つ方法ですので、高額な投資に見合うリターンが期待できます。今養成課程に進学するか迷われている方は、騙されたつもりで、説明会だけでも参加してみて下さい。きっと、得られることは多いはずです。