この記事では、主に製造業における製品毎の原価の考え方について触れます。製品毎に利益率が異なる場合に、どの製品に力を注ぐべきか?それは、単に「原価率が低いもの(利益率が高いもの)」を売ればよいという話ではありません!利益率が少なくても、工数がかからない取売品や他の製品の受注の引き金になる製品については、優先的に行う方が良い場合もあります。具体的に見ていきましょう(^^)/
1.製品の作り方による分類
ここで、メーカで製造する製品を外注依存度別に、以下の3つに分類します。
(1)自社製品
(2)準取売品(主要部は他社製品であるが、自社で検査や加工が必要な物)
(3)取売品(製造の全てを他社に依頼するもの。いわゆる商社的な動きをする場合)
このうち(1)自社製品については、外注依存度の低い製品であり、自社で付加価値をつけているものであるため、高めの製造経費や販管費をかけてよいものになります。
例えば、製造経費20%、販管費20%といったところでしょうか。
一方で、(2)や(3)について、(1)と同様の原価計算を適用するとどうでしょう?
特に(3)の取売品の例がわかりやすいですが、仮に1万円のものに、上記経費(製造経費20%、販管費20%)をそのまま適用したとすると、¥14,400で市場に投入することになります。上記はまだマシな例で、自社製品の利益率はもっと高い場合も少なくないでしょう。
すると、他社なら1万円の製品が自社が売ると¥14,400なんてことになり、顧客の信用を失いかねません。上記は極端な例ですが、外注依存度により、原価の考え方を変えないといけないことは事実でしょう。実際はこれができていない会社が多いのが実情です。では、(2)や(3)の原価計算はどうしたらよいのでしょうか。
2.外注依存度が高い製品の原価計算
結論としては、(2)のような準取売品は、工数が少なくなる分、製造経費を下げるべきであり、(3)のような取売品については、製造経費を勘定しないというのが一般的なやり方です!
「そんなの分かってるよ!」という人のために、少し具体的な計算方法の話をします。
原価は、大きく固定費と変動費に分かれます。固定費は、人件費や設備の維持費のように、受注量によらず毎月かかる費用です。一方で、変動費は、材料費のように受注量・生産量に比例してかかる費用のことを言います。
(1)のような自社製品の場合は、固定費と変動費の双方を原価に含める必要があります。
一方で、(2)や(3)のような外注依存度の高い製品を受注する場合、これらの製品は「追加受注」という扱いをするべきです。
つまり、取売品(追加受注分)に固定費を計上してはいけません。
なぜなら、固定費は取売品を受注しなくても発生する原価であるので、取売品(追加受注分)の原価に組み込むべきではありません。取売品については、変動費分(多くの場合材料費のみ)を超える額の売り上げが見込める場合は、受注するべきだと考えることが多いです。
詳しくは、「管理会計」に関する書籍等で確認頂ければと思います。
追加受注でせっかく得られるはずの利益を、原価計算(管理会計)の考え方を知らないことで、取りこぼすのは勿体ないです(^^)/
あなたが営業部門や設計部門の製品担当者でしたら、しっかりと管理会計を学習して、社内の上層部を説得していただけたらと思います!応援しています♪