2020年版中小企業白書によると、企業が販売価格を設定する際の類型として、(1)コスト起点型、(2)顧客起点型、(3)競合起点型があります。
(1)コスト起点型:コスト回収をし、一定の利益を確保できる価格に設定する(自社の売りたい価格)
(2)顧客起点型:顧客に受け入れられる価格に設定する(買ってもらえる価格)
(3)競合起点型:競合他社の価格・市場価格をベースにする(売られている価格)
企業にお勤めの方であれば、一度は価格設定について社内で議論する機会があるかと思いますが、皆さんの会社は上記のどれにあてはまるでしょうか。
営業的な視点ですと、売上が優先されるので、上記(2)(3)が優先的に検討されるかと思います。
一方で、技術部門・間接部門の視点ですと、かかったコストを回収しようという考えが強くなりますので、上記(1)が優先になるかと思います。自社が業界内でニッチトップ企業である場合(自社製品に自信がある場合)は、強気の価格設定をしている傾向があるかと思います。
上記はどの視点が正解ということはなく、総合的に勘案することが大事ですが、2020年版白書では(1)のコスト起点型の企業において、最も自社の優位性を価格に反映できていることが説明されています。
<価格変更による影響>
それでは、企業経営理論でいうところの「価格弾力性」についてみていきましょう。
白書によると、値上げをしても、値上げ前に懸念していたよりも影響がなかった(=値上げ後の影響:「特になし」)と回答した企業は約6割に上ります。
また、値下げ後に販売数量が増加したと回答した企業は25.5%にとどまります。
つまり、値上げしても売り上げは意外と維持できる傾向があり、値下げしても販売数量が増えるわけではないということが「中小企業の付加価値向上に関するアンケート」の調査結果から分かったということになります。
冒頭の、コスト起点型の企業が、最も優位性を価格に反映できていることから鑑みても、やはり、強気で価格を設定することは大事なようですね!
競合他社の数が多い企業は一概にそうとは言えないかもしれませんが、試験にも出るということで、この傾向は押さえておきましょう。