この記事では、養成課程に進学することで、社内外での交渉力が劇的に向上した具体的な体験談をお伝えします!
変化の激しい時代、新規事業を推進するには、社内外の様々な利害関係者を取りまとめる必要が生じます。そのためには、自身の専門分野や職域に留まらず、経営に関する網羅的な知識が必要となります。養成課程(MBA)を通じて、経営に関する全般的な知識を体得することで、自身が劇的に成長していることを実感する場面が生じます。具体的に説明していきましょう!(^^♪
1.新規事業の背景
養成課程に進学した当初、私は、計測器メーカの技術職で、デジタル計測器の新規事業のプロジェクトリーダーでした。私の在籍していたメーカは、元々アナログ計測器事業に特化していたため、最新のデジタル機器に関する知識は、私を含め皆無の状態でした。そんな中、デジタル計測器の新規開発を進めるには、自社の弱みである電気的知識の補充が必要不可欠でした。
2.技術的な知見の補充
私自身は化学の専門で、社内には機械技術者が何人かいたため、アナログ機器に関する知見は社内で得ることができました。一方で、デジタル機器に関する電気的知識の補充には、電気メーカや大学との連携が必要です。そこで、私は片っ端から協力してくれそうな企業に問い合わせをし、技術的な打ち合わせを繰り返しました。
4~5年に亘る、様々な企業との打ち合わせの末、電気的な知見が蓄積されていきました。結果、開発すべき新製品の仕様が固まりつつありました。
3.養成課程(MBA)が役立った出来事(事業化における社内外との交渉)
さて、新製品の技術的な部分が固まったところで、問題は、その後の事業化です!
新製品の構成部品として中国製のセンサがあったのですが、これを
・中国メーカから直接輸入するか、
・貿易商社を経由して購入するか、
商流について意見が分かれたのです!
直接輸入のメリットは、材料費が安価になり、新規事業の利益率が向上すること、
商社経由での購入のメリットは、物流機能を委託できることや、為替リスクの軽減等、社内の工数・負担が軽減できることです。
それぞれの案に一長一短がある中で、商流に関する社内の意見は真っ二つに割れました。
そこで、養成課程で学んだ知識の出番です!
私は、主に管理会計で学んだ知識を活かして、まず両案のざっくりとした利益率を算出し、表にしてプロジェクトメンバーに開示しました。想定される競合製品の市場価格と新製品の販売価格も比較できるようにした上で、両案でどの程度、ネゴ代があるかについても検討しました。
さらに、貿易商社を通さないことにより起こりうるリスクについても列挙しました。少人数の会社であるため、マンパワーの不足が最も大きな課題となっていました。社内に物流を専門とする担当者も存在せず、納期遅延が生じた際の対応にも不安があったため、この点を社内の経営陣に理解させる必要があります。
私が用いたのは、「バリューチェーン分析」です。センサメーカや当社、そして貿易商社がそれぞれどのような機能を発揮しているのか?それを可視化して表にしました。
ざっくり言うと、以下の通りです。
<各社の役割>(提供する価値)
センサメーカ:センサの開発・製造
貿易商社:センサメーカとの交渉、センサ在庫の補完、輸入手続き、為替リスクの担保
当社:センサの品質評価、製品への組み込み
このようにバリューチェーン分析とは、言い換えれば、役割分担の明確化です(^^)/
ここで、もし、貿易商社を通さなければ、メーカとの交渉や物流に関することは全て当社で行う必要が生じます。当社が人手が豊富な大手企業なら良いですが、人手不足の当社にとっては、これらを全て自社で行うことは現実的ではありません。
そこで、利益率がどの程度下がるかを明確にした上で、それでも貿易商社を通すことが合理的であることを、様々なフレームワークと経営指標を用いて説明し、経営陣を納得させました。
結果、貿易商社を通じて、センサを購入することとなりました。
当該貿易商社は、中国に現地法人を持つ商社であったため、交渉がスムーズに進み、この新規事業は、大きく成長するに至りました。
成功要因は、始めの立ち上がりの時点で、貿易商社の力を借りることで、メーカとして新製品の開発・製造に特化でき、製品力の向上ができたことだと考えています。
最初は多少利益が少なくても、長期的に製品力を向上させ、顧客の信頼を獲得していくことで、最終的には高利益率を確保するにいたりました。
SWOT分析で「W(弱み):マンパワーの不足」を経営陣に強調できたことも良かったと思います!
このように、社内の意見が分かれた際に、各々の案を具体的(経営戦略)かつ定量的(管理会計)に評価し、経営陣を納得させるのに、養成課程での学びが役に立ちます(^^)/
経営の知識だけなら、ビジネス書や診断士試験だけでも習得可能です。しかし、上記のように実際に経営陣やプロジェクトメンバーからのフィードバックをもらいながらアウトプットしていく過程では、養成課程のように自身のアウトプットに対するフィードバックをもらえる環境が学びの場として最適であることは皆さんもイメージできるかと思います!
養成課程の高い費用に見合うだけの学びがあったと私は確信しています。
悩んでいる方は、本記事を参考に、今一度検討されてはいかがでしょうか?☆