診断士養成課程の歩き方~ハーバード経営学PhDリケジョは語る!~

診断士養成課程(+MBA)を修了後、ハーバード大学の経営学PhDへ進学したリケジョのともかが、養成課程の意義や授業内容等詳細をお届けします!皆さんのキャリア形成の一助になればと嬉しいです!

営業利益と経常利益から読み取れること~養成課程(MBA)で学べる事~

この記事では、営業利益や経常利益のグラフまたは数字を用いて、簡易に企業の戦略を分析する手法について、ご紹介したいと思います!

 

<5つの利益>

中小企業診断士の一次試験の学習を進められている方であれば、「営業利益」や「経常利益」という言葉の意味はなんとなく理解されているかと思います。

かなりざっくりで恐縮ですが、

(1)売上高から売上原価を差し引いた「売上総利益

(2)そこから、販管費(人件費等)を差し引いた「営業利益」

(3)そこから、営業外費用を差し引いた「経常利益」

(4)特別損失を差し引いた「税引き前当期純利益

(5)さらに法人税等を差し引いた「当期純利益

があります。

その中でも、本業で稼いだ利益である(2)「営業利益」と、

営業外費用・営業外収益を加味した(3)「経常利益」は、

様々なデータとして取り上げられることが多いです。

 

<グラフや数値から何が読み取れる?>

さて、それでは、皆さんは企業のIR情報等で営業利益や経常利益を見て、何に使用されるでしょうか。

もちろん、単純に売上高で割って、「売上高営業利益率」等の計算を行うことができます。利益率の算出も立派な財務分析でしょう。

しかし、これらの数値を見て、企業の戦略を読み取ることもできるのです!

例えば、

「営業利益」>>「経常利益」の場合

(営業利益に対して、経常利益が著しく小さい場合)

この場合、営業外費用が多くかかっていることになりますので、本業以外の部分(買収した事業や企業)がうまく行かず、多角化に失敗していることが想定されます。一般的に失敗する多角化は、「無関連多角化」であることが多く、本業とシナジーのない事業領域の企業に投資している場合等に、このような経営成績になる傾向があります。

一方で、

「営業利益」<<「経常利益」の場合

(営業利益に対して、経常利益が著しく大きい場合)

この場合、逆に、営業外の収益が多く確保できていることになりますので、投資した事業の収益や買収した企業からの配当金等で潤っている可能性があります。このような数値は「関連多角化」している場合に多く現れ、本業と関係のある事業に投資することで、シナジーを発揮しているケースが考えられます。

そして、

「営業利益」≒「経常利益」の場合

(営業利益と経常利益が、ほぼ同じ値の場合)

この場合、その企業は本業に集中していることが読み取れます。本業外の事業に営業外費用をかけておらず、営業外の収益も得ていないため、このような数値傾向になります。まれに営業外収益と営業外費用が各々高い水準にあり、結果的に差し引きして両者が同等の数値になっているケースがありますが、その状態は長く続くものでもないので、営業利益・経常利益の推移をみることで、本業に集中していることが分かるのです!

このように、営業利益・経常利益の数値やグラフから、その企業の多角化戦略の有無、その成功・失敗を読み解くことができます競合他社のIR情報等から、これらの値を入手することで、おおよその戦略の方向性を把握することができ、自社の戦略立案の一助にすることができます。社内の打ち合わせの時に、このような分析がさらっとできれば、周囲からの評価も上がります!是非取り組んでみてください(^^♪