<中小企業経営の視点>
「中小企業白書2020年版」中小企業庁編p.Ⅱ-220, 222, 224,226
中小企業庁「平成30年中小企業実体基本調査」より
・知的財産を所有している企業の割合は、下請法上の「委託事業者」が高いです
⇒知的財産を所有している企業は、サプライチェーン上優位な立場にあります。
・知的財産を有している企業は、売上高に占める受託取引の割合が相対的に低いです
⇒知的財産を有している企業ほど、受託取引以外の取引(自社製品の販売等)で、売上を獲得できていると言えます。
・高生産性企業は、知的財産を保有している割合が高いです
・知的財産を有している企業は事業承継の意向が高い傾向にあります
⇒しかし、「まだ考えていない」と回答している企業も多数存在します
⇒知的財産の散逸を避ける観点から、中小企業の事業承継が円滑に行われることが望まれます。
<中小企業施策との絡み>
知的財産の取得については、費用面から、特許料等の減免措置が設けられています。
(審査請求料・特許料・国際出願費用について、中小企業は1/2、小規模企業者は1/3まで軽減)
下記のブログで説明しているので、関連づけて確認されると良いと思います。
www.shindanshi-toranomaki.info
また、事業承継の面では、経営承継円滑化法に基づく事業承継支援や事業引継ぎ支援センター等の施策があります。
(1)経営承継円滑化法に基づく事業承継支援
・金融支援
中小企業信用保険法の特例(信用保険の別枠化)や代表者個人に対する貸付(日本政策金融公庫の施策)
・税制措置
非上場株式を先代経営者から取得した後継者は、相続税(課税価格の80%)、贈与税(100%)の納税が猶予されます。
特例の適用を受けると、相続税も納税猶予割合は100%となります。
(2)事業引継ぎ支援センター
産業競争力強化法に基づき、中小企業者等の後継者のマッチングを支援する機関です。
各都道府県に設置されていて、相談は無料です。
以上、簡単ですが、知的財産の所有の効果・散逸防止(中小企業経営の観点)と事業承継に関する施策(中小企業施策の観点)を絡めて記載しました。
個々の科目の細かい点はお手持ちのテキストや本ブログの別の記事で確認頂ければと思います。
関連づける学習はやはり効率がよいので、継続して実践していきましょう。